給与の額を上げる前に給与の価値を上げる
こんにちは。将棋で人事労務® を伝える文京区の社会保険労務士 山岡 です。
最近のニュースを見ていると、賃上げに前向きな企業が増えているようです。
自分のサラリーマン時代を思い出すと、月給が数千円アップするだけで嬉しかった記憶があります。時間外手当の基礎となる単価にも影響するので大きいですよね。
ただ・・・賃上げの嬉しさは長くは続きませんでした。賃上げ後の給与明細書を見た瞬間は嬉しいのですが、その後は残念ながら忘れてしまい、賃上げ後の額が自分にとって「当たり前」になっていました。
アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグの動機づけ・衛生理論によると、給与が不足すれば不満になるが、増えてもモチベーションのアップには必ずしもつながらないそうです。これは自分の経験上も思わず納得してしまいます。
給与の額を上げる前に企業がすべきこと、それは給与の価値を上げることです。
あなたの会社の従業員は、社会保険料の半額を事業主が負担していることを知っていますか?
あなたの会社の従業員は、労災保険料の全額を事業主が負担していることを知っていますか?
あなたの会社では、会社員の健康保険と自営業者の国民健康保険の違いを従業員へ伝えていますか?
あなたの会社では、会社員の厚生年金保険と自営業者の国民年金の違いを従業員へ伝えていますか?
事業主と従業員では、給与に対する認識が違います。
「ウチの会社は給与が安い」と思っている従業員がいる一方で、「ウチの従業員は給与分働いていない」と思っている事業主は多いと思います。その理由の一つは上記のような社会保険料の負担に対する認識の違いによるものです。
例えば、
月額20万円の給与の手取額は約17万円です。
月額20万円の給与を支払う場合、事業主が負担している社会保険料(法定福利費)は約3万円です。
事業主は、給与と社会保険料を合わせて約23万円を支払っていることになります。
(その他の経費を含めるともっと多くなります)
従業員にとっては、給与=17万円
事業主にとっては、給与=23万円
この差額は社会保険料や所得税などによるものです。
同じ給与額でも伝え方によってその価値は大きく変わりますので、社会保険の仕組みをしっかり伝え、給与の『額』を上げる前に、給与の『価値』を上げてみてはいかがでしょうか?
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